重工業界メーカー大手(三菱重工・川崎重工・IHI)の違いを比較|就活生が知っておきたい年収・ランキング・社風も
今回は重工大手(三菱重工・川崎重工・IHI)を比較をします。今回の目標は、詳しいビジネスの違いを述べるのではなく、重工3社の企業研究のとっかかりを手助けすることだ。
「どこも巨大な組織で色んなものを作ってるし、どう違うのかもわからん」って人が多いだろう。しかし、何をやれるか知らないままスルーしてしまうのはもったいない。何をやっているか簡単にサクッと紹介するから、一通り眺めて、興味のある分野を探してほしい。
- 重工メーカー業界の大手各社は何を作ってるのか
- 重工メーカー業界の各社の事業セグメント分け
- 重工メーカー業界の大手会社それぞれの比較
- 重工メーカー業界大手会社の事業セグメント別売上高比率
- 重工メーカー(三菱重工・川崎重工・IHI)の年収の比較
- 重工業界を分析|最後に
重工メーカー業界の大手各社は何を作ってるのか
3社ともバカでかい組織であり、扱う製品ごとに事業部門やらカンパニーに分かれている。という訳で、筆者が勝手に製品早わかり一覧表を作った。
少々雑な所もあるが、たぶん「え!?こんなのも作ってるんだ!」という発見があるだろう。それを入り口にして、自分で色々調べて欲しい。
補足でコメントしておこう。
発電・プラント(三菱重工が規模大きい)
筆者の印象としては、三菱重工が一番色んなことを大きなスケールで出来そうなイメージ。就活生の皆さんは、自分の軸を見つけて3社の違いを比較しろ。“大きなことをやりたい”、“雰囲気が自分に合う会社がいい”、“年収重視”など、人それぞれ重視する軸が違うはず。自分の軸を基準として違いを探せ。
鉄道(三菱重工・IHIは線路を一括請負)
三菱重工、IHIは路線一括で建設を請け負う(線路から車両、信号、駅まで全部)ビジネスをやっている。商社に近い要素もあるかな。川崎重工は“ザ・日本のものつくり”って感じで技術を重視したい人にはいいかも。
船・飛行機(三菱重工はMRJで遅れている)
三菱重工は苦戦しているイメージ…(変な顔の豪華客船で大赤字とか、MRJの遅れとか)。この分野に興味がある人は、ニュースをしっかり調べた上で、社員にズバッと実情を聞け。それで社員が嫌な顔するとか、誤魔化すような会社なら絶対に行かない方がいい。プロジェクトが炎上している場合、現場は壮絶な激務地獄に陥っている可能性がある。しっかりリサーチが必要だ。
防衛・宇宙(重工業界各社違いあり)
似たようなことを分担してやっているんだろうけど、必ず違いがあるはずだ。これも例の如く、自分の軸を定めた上で、どの会社が一番フィットするのか調べろ。
バイク・エアコン・橋(他業界との比較必要)
これは各社独特の分野だ。比較する場合、重工他社ではなく他業界の会社になる。
重工メーカー業界の各社の事業セグメント分け
重工メーカー業界は各社とも規模がデカい組織なので、内部で部署が別れている。
三菱重工業の事業内容
エネルギー・環境
交通・輸送
防衛・宇宙
機械・設備システム
川崎重工業の事業内容
船舶海洋
車両
航空宇宙
ガスタービン・機械
プラント・環境
モーターサイクル&エンジン
精密機械
IHIの事業内容
資源・エネルギー・環境
社会基盤・海洋
産業システム・汎用機械
航空・宇宙・防衛
引用:事業内容と市場|早わかり!IHI|個人投資家の皆さまへ|株主・投資家情報|株式会社IHI
※IHIの旧社名は石川島播磨重工業株式会社(いしかわじまはりまじゅうこうぎょう、Ishikawajima-Harima Heavy Industries Co., Ltd,)である。2007年7月1日付をもって、従来略称として用いてきたIHIを正式社名に変更しました。「H」はHarimaではなくHeavy IndustriesのHであり、三菱重工業はMHI、川崎重工業はKHIと略されます。
重工メーカー業界の大手会社それぞれの比較
重工メーカー業界各社を比較するには各社の基本的な数字について焦点をあてました。
重工メーカー大手の会社全体の売上と純利益を比較
重工各社の売上や利益に関しては、業界トップの三菱重工業が頭一つ抜き出ています。
重工メーカー業界大手会社の事業セグメント別売上高比率
次に、重工メーカー業界の大手各社のセグメント別の売上高をもう少し細かく見ていきます。
三菱重工業:エネルギー・環境ドメインが強い
まず、三菱重工はエネルギー・環境ドメインと機械・設備システムドメインが強いです。エネルギー・環境ドメインについては詳しく見るとこんな感じ。
▼三菱重工のエネルギー・環境ドメインの内訳
・原子力事業:原子力発電所を作る
・舶用機械・エンジン事業:船のエンジンやプロペラ、ボイラー、タービン、デッキクレーンなど
・化学プラント・社会インフラ事業:化学プラント、海水淡水化プラント、総合水ビジネス(三菱商事と組んで海外で水事業をやる)
・再生エネルギー事業:風力、水力、地熱発電
・火力発電システム事業:日立と組んで作ったMHPS(三菱日立パワーシステムズ)という会社が世界で火力発電所を作る
機械・設備システムでは、三菱重工は本当に色んな機械を作っています。工場で使うような、普通の就活生が全く思い付かないようなマニアックな機械を色々作っています。
川崎重工業:バイク分野が強い
川崎重工業については、やはりバイクが強いです。ただ、近年は航空部門も好調とデータがありました。川崎重工業はボーイングの飛行機の胴体部分を担当しています。この分野の収益性が増したようです。
IHI:飛行機エンジンとターボチャージャーが柱
IHIについては、飛行機エンジンとターボチャージャーが収益の柱であることがわかる。これらは世界的にも高い評価を受けている。
重工メーカー(三菱重工・川崎重工・IHI)の年収の比較
従業員数・平均年齢・勤続年数・年収の順に以下の通りです。
▼重工メーカーのデータ
・三菱重工業:19357人・39.0歳・16.1年・827万円
・川崎重工業:15911人・38.3歳・13.4年・743万円
・IHI:8571人・40.0歳・14.4年・749万円
(各社2018年度の有価証券報告書から単体の数字をピックアップ)
実際にOB訪問をしたところもう少し年収は高いらしいです。
▼メーカーの平均年収が低くなる理由
・高卒の工場作業員も含めた平均である
・福利厚生が極めて良い
年収の額面だけ見て、商社やテレビ局に敵わないこともないです。
メーカーは工場で実際に手を動かす高卒労働者を雇っているので平均年収は数割減になります。
したがって、高卒社員の年収まで含めた平均の数字は低めに出ます。さらに、メーカーは福利厚生が良いです。額面でわかる給料以外の部分で、生活を豊かにしてくれるサービスが充実してるといえます。要するに、就活生は社員に実際の暮らしぶりを聞くのが一番です。
・関連:OB訪問に行く意味と必要性!OBの探し方とOBがいない時に役立つサイト
重工業界を分析|最後に
最後にもう一度言うが、まず自分が何をやりたいか、各社で何を出来るかしっかり調べよ。その上で、自分の軸を明確にして各社の違いを比較しましょう。
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